ピカチュウ 「ねえ、ちょっと思うんだけど」(前編)
- 2020.04.12
- SS
ピカチュウ「ポケモンが人間に仕えるっておかしいと思わない?」
ゼニガメ「なんで?」
ピカチュウ「人間って弱いし、ポケモンの方が知能が断然高いよ」
ゼニガメ「モンスターボールがある時点で人間の方が強いんだと思うけど」
ピカチュウ「…」
ヒトカゲ「ポ ケ モ ン が 宇 宙 を作ったって」
ヒトカゲ「それに、知識、感情、意思、全部ポケモンが教えたって…」
ヒトカゲ「それに、時間と空間 陸と海を作ったのも」
全部 「ポケモン」 だって
ゼニガメ「ああ…確かにすごいな」
ゼニガメ「じゃあなんでポケモンは人間に頭が上がらないの?」
ピカチュウ「僕たちは野生だからそんなに関係ないけど…」
ピカチュウ(何でだろう…)
ピカチュウ「ん?どうしたの」
フシギダネ「…親友のキノココが、捕まっちまった…」
ピカチュウ「え」
フシギダネ「無理もなかった…あいつら くいっくぼーる ってヘンなモンスターボール投げてきて、逃げられなかったんだ…」
ピカチュウ「フシギダネの敵は必ずとる!!」
ピカチュウ「人間に反乱するぞ!」
ゼニガメ「でもどうやって?」
ヒトカゲ「僕の友達に頼ってみるよ」
ヒトカゲ「僕の友達の、イトマルです」
イトマル「ガクガクブルブル」
ピカチュウ「なんか怯えてない?」
ヒトカゲ「挨拶シナイト燃ヤスゾ」
イトマル「ヒイッ」
ピカチュウ「ガクガクブルブルガクガクブルブガクガクブルブル」
ゼニガメ「ガクガクブルブルガクガクブルブガクガクブルブル」
イトマル「あ…あのっ ♀です…」カアッ
ピカチュウ「イトマルさん、友達を紹介してほしいんだけど」
イトマル「はっ、はい!えっと
ヒトカゲ「意図丸三」
イトマル「ひえっ」
ゼニガメ「…」
フシギダネ「…」
イトマル(やっぱりアギルダー君かっこいい)ウットリ
ピカチュウ(うわぁ)
ゼニガメ(なんだこのイトマルの関係)
フシギダネ(ていうかヒトカゲいつの間に消えてる…)
ピカチュウ「あの…」
アギルダー「さっさとしろ 俺はうるおいボディなんだ」
ピカチュウ「かくかくしかじか」
アギルダー「かくじかで伝わるわけないだろ」
ピカチュウ「そこは突っ込んだら人生負けです」
アギルダー「なるほど、俺の友達に相談してみよう」
ピカチュウ「…」
ピカチュウ「あの…もしもし」
スリーパー「むーん」
アギルダー「スリーパー、こいつらと話をしてやれ」
スリーパー「私の振り子に興味ありますか」
ゼニガメ「いいえ」
スリーパー「私も協力します、テレパシーで拡散させましょう」
ピカチュウ「本当!?ありがとう!」
スリーパー「いえいえ、私の友達のユンゲラー君が捕まってしまって腹が立っていたんです」
フシギダネ「みんな同じなんだなぁ」
スリーパー「反乱はいつ起こすんです?」
ゼニガメ「一気に現実的な話になってきたな」
ヒトカゲ「どうせならでっかくやろうぜ!!」
フシギダネ「いつの間にいたのか」
ピカチュウ「うん、世界規模にしてやろう」
スリーパー「それでは私は役不足のようですね。では、もっと強い力を持つポケモンに協力してもらいましょう」
ゼニガメ「…言いづらいんだけど」
ゼニガメ「力不足」
スリーパー「本当」
ピカチュウ「あががががががが」
ヒトカゲ「すーぱーこんぴゅーたー…」
フシギダネ「わらしべ長者みたいな流れだな…」
メタグロス「最近は努力値だのやれ個体値がどうのこうの…」
スリーパー「おまけに性格が違えば戦力外にされるなんて…涙ものですよね…」
メタグロス「うむ、わしも4つの脳で全力で協力する」
ピカチュウ「ありがとうございます!!」ドゲザ
ゼニガメ「心強いな」
ピカチュウ「これで準備万端だね!!」
アギルダー「いや、まだだ」
ヒトカゲ「えっ」
アギルダー「まず、いくらなんでもメタグロス一匹では限界がある」
アギルダー「野生のポケモンも完全に信じてくれるとは言い切れない」
アギルダー「そして、人間のポケモンは強化されている。野生のポケモンでは歯が立たないかもしれない」
ピカチュウ「…うーん」
スリーパー「メタグロスさんはポケモンの中でもかなり格が上のポケモンですし」
スリーパー「伝説ポケモンと密接も深いですから」
スリーパー「カリスマ性で信じさせられるでしょう」
アギルダー「そうか、じゃあ演説会みたいなのはいつにするんだ?」
フシギダネ「一週間後でいいんじゃない?」
アギルダー「妥当だな」
ピカチュウ「よし、じゃあ作戦開始!」
全員「おおー!」
口コミというものは恐ろしく、瞬く間に世界を駆け巡った
それは、テンガン山のヒンバスにまで届いた
そして、伝説ポケモンと関わりがあると言っていたメタグロスは
とんでも無いポケモンを呼び寄せてしまった
ピカチュウ「はい?」
ピカチュウ「」
ゼニガメ「」
ヒトカゲ「」
フシギダネ「」
ミュウツー「我ハココニ
メタグロス「しつこい」
ミュウツー「人間ニ復讐スルトキダ…!」
ピカチュウ「お…お知り合いですか」
メタグロス「正確には私の友人の友人のお知り合いだが」
イトマル「お、恐れ多いです」
ペラップ「■100年前の~(都合により省略)」
ピカチュウ「あの…」
ゴルーグ「こんにちは」
ピカチュウ「でっか」
フシギダネ「さっきのペラップと違って頼もしそうなポケモンだな」
ピカチュウ「えー今日の午後8時、演説を実行します」
ピカチュウ「といっても内容はゴルーグの考えた事だから大丈夫だよ」
アギルダー「ようやくだ」
ミュウツー「ヨウヤク復讐ヲ果タス時ガ来タナ」
スリーパー「ミュウツーさんも演説に参加してはいかがです?」
ミュウツー「何?」
スリーパー「伝説のポケモンであるミュウツーが反乱に加わるとなれば、他の強いポケモンも協力するかもしれません」
スリーパー「そして何より、支持を得やすくなるかと」
ピカチュウ「ではその方針で」
ピカチュウ「ゴルーグの演説の後に自己紹介でも」
かくして、迎えた午後8時
後のポケモンは、終わりの始まりと呼んだ
もちろん、この極秘テレパシーは、人間の耳には入ってこない
だが、トレーナーのポケモンは気づいた
トレーナーに漏洩してしまったのである
メタグロスを始め、その他エスパーポケモンの尽力により
世界中のポケモンの脳に演説は届いた
ゴルーグ「古代より、大地と海洋を作り出したのはグラードンとカイオーガであり」
ゴルーグ「知識、感情、意思。これらを人間に教えたのは我等ポケモンのユクシー、エムリット、アグノム」
ゴルーグ「この悠久の時間、存在する空間も、ディアルガ、パルキアのお陰で作られた」
ゴルーグ「この大宇宙は、ポケモンである アルセウス が作り上げたのです!」
ゴルーグ「しかしながら!!」
ゴルーグ「我々の存在を脅かすニンゲンは、そんなことを知っていながら、自分たちが最強だと自惚れています」
ゴルーグ「私たちはモンスターボール一個に、怯え続けているのです」
ゴルーグ「ですが、我々にも希望があります」
ゴルーグ「その力は絶大で、私たちは敵いませんが」
ゴルーグ「捕まる前なら」
ゴルーグ「あなた達は立派に戦う事ができるはずです」
ゴルーグ「今こそ人間に牙を向けるときです」
ゴルーグ「ポケモンに頼り切って、自分たちでは何もできない愚かな人間に」
ゴルーグ「真の神たるポケモンが、裁きを下してやろうではありませんか!!」
サトシ「ピカチュウ、どうした?」
サトピカ「」
この時
森から、地底から、海中から、火山から、洞窟から、街から、空から、宇宙から
ポケモンの雄叫びが上がったという
その声は、世界に散らばるポケモンに衝撃を与えた
ミュウツー「我ハ邪推ナル人間ニヨッテ遺伝子ヲ組ミ換エラレテ作ラレタ」
ミュウツー「ニンゲンノ ポケモンデ アル!!!!!」
ミュウツー「我モ反乱ニ、一役買ワセテモラウ!」
サトシ「なんか…外が騒がしい気がするから、様子を見に行ってきてもいいか?」
アイリス「怖いのー?子供ねーwwwww」
デント「これは、事件の予感がするね!」
サトシ「?」
ポケモン界は揺れ動いた
ミュウツーに続けというポケモン
トレーナーに忠義を尽くすというポケモン
他見守るポケモン…
蒼海の王子であった
マナフィ「僕は、人間のおかげで無事に生まれ、人間によって育てられた」
マナフィ「僕の母はニンゲンだ」
マナフィ「周りがなんといおうと、僕は僕の母親に手を挙げたりはしない!!」
海は月に照らされ、深い慈悲の色を映し出していた
重い腰を上げたのはポケモン界の重鎮、エンテイ
エンテイ「最近の人間は傲り高ぶり、我々の安住の地を奪っている」
その顔は水色をしている
エンテイ「私もニンゲンに天罰を下すのには異論はない」
エンテイ「人間を殲滅させるのはどうかと思うが、我々の力を思い知らせるのは良い頃合いだ」
エンテイをたしなめるのは、七色の翼を持つホウオウだ。エンテイ スイクン ライコウを蘇らせたらしい
スイクン「しかし、エンテイの言うことも一理あると思われますが」
ホウオウ「わしは様子を見させてもらう」
ライコウ「俺は我慢できん!天罰じゃあもの足りねぇ」
念力によってテレパシーに介入できる強い力を持つ伝説ポケモンの言い争い
普通のポケモンは黙って耳を傾ける以外にほかなかった
反乱開始時刻を決定し、その場所で反乱を一斉に蜂起するようにと伝えた
時刻は、明日の午前0時
サトピカ「…」
反乱軍側は、クーデターを完璧に成功させるため
メガヤンマで構成された偵察部隊を発進させた
人の多い場所の大体を把握し
本隊到着までに一気に制圧させようという魂胆である
なお、野生のポケモン達には現地で決起し
それぞれの地方のリーダー格であるポケモンの隊に合流せよ
との指示である
日本政府密談
「では、これでよろしいですかな」
「ポケモンは増えすぎた」
「そうだ。最近はポケモンなしで出歩くガキが多い」
「そのガキがポケモンに殺される 全く自業自得な話だ」
「野生ポケモン殺処分計画」
「これでPTAも文句は言わん」
「よろしい、一週間後に実行だ」
イッシュ偵察隊隊長「最初はヒウンシティですか」
メタグロス「そうだ。あの大都市を壊滅させれば、イッシュは都市機能を丸々失う」
メタグロス「出来る限り、残虐にな… 暫くしたら更に軍を投入する。そしたら、第一線から後退」
メタグロス「その後は準備が出来次第、逐次出撃だ」
メタグロス「犠牲を、怖れるな」
イッシュ偵察隊隊長「りょ、了解…」
メタグロス「乗り気じゃなさそうだな」
メタグロス「言っておくが、これは正義だ」
メガヤンマ「突撃!」
突如超上空を飛んでいたメガヤンマの群れは
一斉にヒウンシティ地上に向かって高速で急降下を行った
狙いは、人間の「首」
メガヤンマ「一番槍!お覚悟召されぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
「ぎゃああああああああああああああ!!!」
メガヤンマの一体が、どうやら人間の首を噛み千切ったようだ
はじまった
デント「何が起こったんだ!?」
アイリス「うわ…ひどぅい…」
ポケモンセンターを飛び出したサトシが見たものは
あちらこちらで血を垂らして倒れている人々の姿だった…
アイリス
アイリス「く…首が、ない…?」
デント「サトシ!!上だ!!」
サトシ「くっ…!」
上空からの急降下を間一髪よけるサトシ
もはやヒウンシティは、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した
サトシ「ガントル!ロックブラスト!」
ガントルのロックブラストも、特性かそくで簡単によけられてしまう
デント「安全なところに身を隠すしかない!急いで!」
サトシ「分かった、戻れガントル!!」
サトシ「昨日は普通の街だったのに…」
アイリス「あわわわわ…首が…」
デント「どうしてなんだ…」
サトシ達が必死で逃げている間にも、被害者は増え続けていた…
メガヤンマの羽音で窓ガラスが割れる
ポケモンセンターも被害を免れることは出来なかった
ポケモンセンターの狭いドア、上層階から、かつてピカチュウの絵が描かれてあった看板を破壊して…
侵入してきたのだ
ジョーイ「回復機械が!!」
総動員で立ち向かうタブンネを圧倒し
エアスラッシュが2階を直撃
ジョーイ「集中治療室を死守しなさい!」
必死の「まもる」もフェイントに破られる
ブブブーン!!
むしのさざめきによって、防護シャッターも突破し
集中治療室を、げんしのちからで叩き潰した
ジェバンニ「エレキブル、ポケモンセンターの電気の供給だ」
ジョーイ「いえ、ポケモンセンターは自家発電機能が備わっておりまし…きゃあっ!」
壊滅したポケモンセンターになお襲いかかるメガヤンマ
ジェバンニ「エレキブル、かみなりパンチ!!」
バリバリィッ!!
こうかはばつぐんだ!
メタグロス「まだだ。本隊到着には時間がかかる」
メタグロス「後5分の間だ」
メタグロス「なるべく犠牲を3分の1にしろ」
ジェバンニ「エレキブル!10まんボルト」
なおも羽音が飛び交う中戦い続けるエレキブル
しかし相手はかそくで素早さをどんどん上げていく
そして1対多数では不利だ
ジェバンニ「ここは一旦ひくぞ!でんじはだ!!」
サトピカ「ピッカァァァ、ジュゥゥ!!」
10まんボルトは効き目があったようで
メガヤンマは撤退を始める
ジェバンニ「つ…強い…?」
サトシ「大丈夫ですか?」
ジェバンニ「すごいな、今の10まんボルト」
サトシ「ありがとうございます」
偵察部隊隊長「しかし、目立った姿は…」
メタグロス「とにかく、とんぼがえりで急上昇だ」
偵察部隊隊長「了解」
メタグロス「集合は遅かったが、地面タイプ一の素早さだ。問題はない」
メタグロス「そのための メガヤンマ だからな」
偵察部隊隊長「上空に退避せよ!」
メタグロス「ダグトリオ!!マグニチュードだ!!!」
マグニチュード 9 だ!!
その数値が1上昇するだけで
地震のエネルギーは約32倍に跳ね上がるという
無数のダグトリオが同時にマグニチュードを繰り出し
威力を瞬時に32倍に引き上げたら
ましてやどれか一匹が、マグニチュード9でもだそうものなら…
アイリス「!?地中から何か来る!!」
アイリス「サトシ、逃げてぇー!!」
サトシ「…!?」
マグニチュード 3 だ!
マグニチュード 3 だ!
マグニチュード 5 だ!
マグニチュード 4 だ!
マグニチュード 7 だ!
マグニチュード 3 だ!
マグニチュード 6 だ!
マグニチュード 10 だ!
バンギラス「ブンギャォォゥ!」
2月27日 1:03
45番道路は猛烈な砂嵐に包まれた
シロガネ山に生息していたバンギラスが
山を崩しながら現れたのだ
ウツギ博士「バンギラスの進路は!?」
助手「ここです!ワカバタウンに向かって全てを破壊しながら進んできます!!」
ウツギ博士「あああああああ何てことだ…(ここが潰されれば、今までやってきたポケモン研究は!?そもそも死んだら愛する妻と息子は!?悲しむだろうなぁサトシ君大丈夫かなこうなればサニーゴと一緒に…いやいやそれではふしぎなタマゴ第一研究者としてブツブツブツブツ…」
ウツギ博士「ととと、とりあえず住民の避難を優先させる!!」
「ワカバタウンにお住まいの皆様~!現在45番道路からバンギラス数体がワカバタウンに向けて進んでいます!」
「今すぐ貴重品を持ってヨシノシティのポケモンセンター、或いはキキョウシティにまで避難して下さーい!!」
「なおバンギラスはレベルが高く、戦うのは困難と予想されますので、とにかく避難して下さいーーーー!!!」
コトネ「これは…事件の予感がするってことね!!」
アララギ「ひどいわね…」
ダグトリオのマグニチュードによって、見る影もなくなった街があった
ジュンサー「生存者はライモンシティへ搬送して!」
ジュンサー(ライモンシティも被害は大きいけど…)
アララギ「そう、世界各地で続々とポケモンが人間に危害を加えているわ」
アララギ「ウツギ博士の研究所も破壊されたし、ロシアやフランスでもかなりやられているらしいわ」
アララギ「日本ももうじき…かしらね」
2月27日 6:41
イッシュ地方の都市機能半壊
アメリカ政府、都市機能を被害の少なかったホドモエシティに移行
コトネ「駄目…これ以上は、行かせない!!」
コトネ「マリルリ!アクアジェット!!」
吹き荒れる砂嵐の中で
一人戦い続けるコトネの姿があった
コトネ「カズナリなんて頼れないし…」
コトネ「何より今!殺るしかない!」
コトネ「ワカバタウンが…ウツギ博士が…!」
ブンギャォォゥ!!!!!
あくのはどうがマリルリを圧倒する
何もせずともすなあらしで地道にHPが減っていく
彼女が倒れるのも時間の問題だった
アナウンサー「シンオウニュースネットより、引き続き臨時ニュースをお知らせします」
ヒカリ「おはよーママ…」
アナウンサー「2月27日午前0:00より、世界各地でポケモンが人間に危害を加えています」
アナウンサー「現在入っている情報によりますと」
アナウンサー「ウツギ博士のポケモンけんきゅうしょが破壊されました」
アナウンサー「なお、ウツギ博士本人は無事でありヨシノシティのポケモンセンターに…」
アヤコ「ヒカリ、ヒカリはポケモンを大切に育ててるわよね?」
ヒカリ「へっ…?う、うん」
アヤコ「それならいいわ」
アナウンサー「続いて、イッシュ地方に関するニュースです」
アナウンサー「ヒウンシティが地震によって壊滅し…」
ヒカリ「ええっ!?そ、それってサトシのいる所じゃ…」
アナウンサー「アメリカ政府は先程、都市機能をホドモエシティに移転しました」
アナウンサー「続きまして、この事に対する日本政府の…」
ヒカリ「行かなくちゃ」
ヒカリ「サトシ達に、会わなくちゃ」
アヤコ「気をつけてね」
ヒカリ「大丈夫!!」
アナウンサー「日本政府は、数日の内にポケモンに対して然るべき措置を与えるとの返答をしており…」
アヤコ「今回限りは、本当に大丈夫でいてほしいものね…」
フシギダネ「なんか今更やめたくなってきたよ」
ヒトカゲ「指示とかはメタグロスさん達が全部やってくれるから良いとして」
ゼニガメ「なんか…複雑な気分だな」
メタグロス「何!?もう各地で反撃が始まってる!?そんなこと想定内だ。かまわず進撃しろ!」
メタグロス「だから中枢を抑えておけと言ったんだ!!ん?クラッキング部隊は何をしている!!」
メタグロス「ウイルスバスターだぁ!?そんなものロトムには通じないだろ!!」
メタグロス「これは正義だ、お前達のやってることは正しいんだぞ!もっと胸を張れ!!」
ミュウツー「大分反撃ニ手ヲ焼イテイル様ダナ」
ミュウツー「我ニモ都市ヲ破壊シテ真ッ白ニデキル時間ヲ残シテ欲シイノダガ」
ミュウツー「今カラデモ遅クハ無サソウダ…」
カントー地方上空
ミュウツー「我ニ破壊トイウ道楽ヲ残シテクレタノニハ感謝スル」
ミュウツー「存分ニ楽シマセテモラオウ…」
タケシ「お前達、ここで良い子にしてるんだぞ」
ジロウ「分かった」
弟妹「うん!!」
タケシ「ジロウ、ポケモンは、大事にな…」
カスミ「タケシ!早くジョウト地方へ!!」
タケシ「今行く!」
タケシ「じゃあな」
カントー地方 22番道路
タケシ「ジムリーダーと言う名、久しぶりに聞いたな」
カスミ「ポケモンドクター…ね」
タケシ「今はジョウトに行って野生ポケモンと応戦するしかない」
カスミ「そのためのジムリーダーなんだし!!」
タケシ「ポケモン達も辛かったろうに…」
カスミ「何かあっちこっちからポケモンが飛び出してくるわね…」
タケシ「自衛では無く明確な敵意があるようだ」
タケシ「まさか本当に反乱がおこってしまったのか…?」
ラジオアナウンサー「ですからぁ…シンオウ地方は未だ目立った破壊活動は行われておらず…」
ラジオアナウンサー「っと、ここで速報です」
ラジオアナウンサー「えーカントー地方のニビシティが消…消し飛んだ!!?」
ヒカリ「!?」
ラジオアナウンサー「…えっとーぉ…ですから…ええ、ええ、はい」
ラジオアナウンサー「えーこのような事を起こしたポケモンは現在不明…えー目下調査中との…事です」
ラジオアナウンサー「続きまして、えーイッシュ大地震の被害状況をお伝えしま…」
ヒカリ「嘘…嘘よ…」
ヒカリ(タケシ…!)
---再び カントー地方 タマムシシティ---
ミュウツーの攻撃により「ジワジワ」と破壊されて行く
サカキ「…何事だ」
シラヌイ博士「ミュウツーの攻撃かと」
サカキ「ミュウツー?どこかで聞いたな、その名…」
タマムシデパートがグラリと傾き、崩れ去った
ロケット団下っ端が必死に対抗するが、勝ち目は無い
ムサシ「ちょっと、一体何なのよ!!」ヒイヒイ
コジロウ「何だかんだと聞かれたら…?」ゼエゼエ
ニャース「今はとにかく…」アセアセ
ムサコジニャ「 逃 げ る ! ! 」
サカキ「…ミュウツー」ニヤ
サカキ「ジョウトの基地は?」
シラヌイ博士「健在です」
サカキ「…ミュウツーを」
サカキ「捕獲しろ」
ムサシ、コジロウ、ニャース
辛くもタマムシシティを脱出
タマムシシティ都市機能を失う
ムサシ「ロケット団も、呆気ない最期なのね」
コジロウ「ジョウトや、ホウエン、シンオウ、イッシュにも、まだ組織そのものは残ってるみたいなんだが…」
ニャース「いずれにせよ、大きな痛手ニャ」
コジロウ「俺、ちょっと行きたいところがあるんだ」
ムサシ「あんたが?ロケット団が事実上壊滅したんだから、もう指示に縛られる事もないし」
ムサシ「何よりジャリボーイのピカチュウGETが最優先でしょ?」
コジロウ「シンオウに、用事を残して来ちまってな、俺ずっと気がかりだったんだ」
コジロウ「ムサシもニャースも、別れの挨拶は早めにすませた方がいいぞ」
ムサシ「でもさ、あたしは…ほら、ほとんど身寄りとかいないし」
コジロウ「でも、関わった人物ぐらいいるだろう」
コジロウ「俺はもう行くよ」
ムサシ「待って」
ムサシ「3日後、10:00にホウエン地方のシダケタウンにいること」
ムサシ「絶対に死なないこと」
ニャース「ロケット団は…永遠なのニャ…」
コジロウ「充分だ」
ムサシ「あんたも行きなさい」
ニャース「…ニャーもかニャ?」
ムサシ「そうよ、最期ぐらい伝えておきなさい」
ニャース「…」
ムサシ「ほーら、とっとと行く!!」
ムサシ「前向きロケット団!!でしょ」
クラッキング部隊、ソウリュウシティ最深部のハッキングに成功
これを持って、ポケモンセンターを始めとする電子機械をポケモンが意のままに操れる状況になってしまう
ロトム「セカイジュウ ノ こんぴゅーたー オヨビ ねっとわーく ニ カンショウ デキマス ガ イカガ イタシマショウ」
メタグロス「とりあえずは現状維持だ、切り札としてとっておこう」
ロトム「リョウカイ シマシタ」
メタグロス「なんだそれ」
ロトム「ポケモン ヲ ゲンカイ マデ ソダテ アゲル イワユル はいじん ト イウ モノ ガ タスウ イル ラシク」
ロトム「オヤ ノ カネ デ ロク ニ シゴト ヲ シナイ にーと ガ ホトンド ヲ シメテ イル ソウデス」
メタグロス「即刻閉鎖だ」
ロトム「リョウカイ シマシタ」
---マサゴタウン---
ヒカリ「ナナカマド博士!」
ナナカマド博士「おおヒカリか」
ヒカリ「博士、あの」
ナナカマド博士「反乱が、おきたな…」
ヒカリ「サトシ達に会いに行きます!」
ナナカマド博士「!!」
ノゾミ「今行くのは、さすがに危ないんじゃない?」
ヒカリ「ノゾミ!」
ノゾミ「まあ、自分で一つ、決めたことはやり通しなよ」
ヒカリ「うん!!」
ナナカマド博士「…なら私からも一つ頼みがある」
ナナカマド博士「どうして、このようなことになってしまったのか」
ナナカマド博士「調べてきてもらいたい」
ナナカマド博士「もし原因がギンガ団とか悪の組織の仕業だったりしたら、野望を叩きつぶしてくれ」
ヒカリ「分かりました」
ノゾミ「あたしも別で行きます」
ナナカマド博士「気をつけてな」
ノゾミ「ヒカリ、またどこかで」
ヒカリ「分かってるって!」
ヒカリ「だーいじょーぶ!!」
コガネタウン ラジオ塔が陥落
世界の大部分は侵略され…というよりポケモン達の栄華を極めつつあった
---ジョウト地方 アサギシティ---
メタグロス「晴れがましい光景だな」
スリーパー「その割には建物一つ満足に残ってないじゃないですか」
メタグロス「ジムを使えば良い」
エンテイ「鉄壁の要塞も、数で責めればあっという間だな」
メタグロス「!!」
メタグロス「エンテイ…様」
エンテイ「やるではないか」
エンテイ「だが、海は綺麗にしとかないと」
エンテイ「またあの小僧が上陸するぞ」
メタグロス「分かっています」
メタグロス「エンジュ はね」
ミカン「…この町を占領したところで意味ない…と思いますよ」
メタグロス「ゴビットに取り抑えられてまだ強がりが言えるか」
ミカン「…なんで、テレパシーが使えるんです」
メタグロス「中継してもらっているのだよ」
メタグロス「スリーパーにな」
ミカン「…あなた、後悔すると思いますよ?」
メタグロス「なぜだ、これはポケモンによる改革だ」
メタグロス「人間に変わってポケモンが未来を切り拓くのだ」
メタグロス「スリーパー、こいつは捕虜として生かさぬよう殺さぬようにもてなせ」
スリーパー「かしこまりました」
ミカン(エンテイ…)
ゴルーグ「ポケモンに劣る人間よ、世界はポケモンが完全支配する!!」
15:05
ポケモンのポケモンによるポケモンのための演説
コガネシティラジオ塔から放たれ、ロトムによって人語に訳されて世界に発信された
これをもって、ポケモンは完全に人間に牙をむき、ポケモン達の信念が強大であることを知る
ゴルーグ「今まで人間はポケモン側から見れば、まさしく平和を脅かす悪魔の象徴であり」
ヒカリ「な、何なの!?さっきまで臨時ニュースしかやってなかったのに!」
ゴルーグ「反平和の塊である!!」
ゴルーグ「ポケモンが真の平和たりうる偉大な存在だ!」
ゴルーグ「人間を、倒す!!」
ゴルーグ「ポケモンの恐ろしさを思い知るが良い!!!」
18:00
ジョウト地方各地で奮闘するジムリーダー達
最前線はヒワダタウンと38番道路となっていた
---ジョウト地方 38番道路---
タケシ「ウソッキー!アームハンマーだ!!」
バンギラスを一撃で倒すアームハンマーは、かなりの戦力のようだ
ポケモンドクターとしての技能でポケモンの手当をするタケシ
複雑な地形である38番道路ではさながら陸戦病院の様になっていた
カスミ「ひどすぎる…」
カスミが見た光景は
のどかな町とは程遠い物だった
燃え上がるジムには、虫ポケモンと幼き子供の焼死体が見て取れる
カスミ「ニョロトノ!みずてっぽう!!」
焼け付く炎の奥には、すざましい熱気の中で意のままに破壊活動を行う巨大な鳥ポケモンがいた
けして巨大ではない
周りの炎が見せた幻覚であろう
それはシロガネ山からやってきた
ファイヤーである
カスミ「ヒワダタウンをこんなにしたのは、ファイヤーの仕業ね!」
カスミ「ニョロトノ!バブルこうせん!!」
さすがは伝説ポケモン
ちんけなバブルこうせんをものともせず
高火力のだいもんじが火柱を吹き上げ街を更に焼き払う
どうやら敵と見なしていないようだ
カスミ「くっ…全然効いてない」
突然ファイヤーが飛び上がった
カスミ「何…何なの!!??」
炎の羽は、夜の星空に映え
舞い散る火の粉と共に、神秘的であった
カスミ「ニョロトノ!みずてっぽう!!」
ファイヤー「ギャアーオ!!」
ファイヤーの ゴットバード!!
遂にホウエン、シンオウ地方に侵攻開始
ホウエン地方のトクサネシティは猛火に包まれる
---ホウエン地方 トウカシティ---
マサト「どうして!?今サトシの所に行くのは危険だよ!!」
ハルカ「会いに行くのよ、何が何でも」
マサト「でもお姉ちゃんも見たでしょ!?あの大地震を!サトシは…サトシは…」ウルウル
ハルカ「大丈夫よ、マサト」
ハルカ「サトシは生きてるって!」
ハルカ「もしかしたら、元気にまた困っている人達の手助けをしてるかも!…てね」
マサト「…」
ハルカ「せっかく戻ってきて悪いんだけど、私行かなくっちゃ…」
マサト「待って、お姉ちゃん」
ハルカ「?」
マサト「…僕も」
マサト「連れてって」
マサト「僕だって、もう大人なんだぞ!!」
マサト「ポケモンだって、捕まえられるんだぞ!!」
マサト「サトシと…ポケモンバトルだって、できるんだぞ!!!」
マサト「だから…だから…」
マサト「連れてって…じゃない!」
マサト「僕はお姉ちゃんと!」
マサト「旅に出る!!!!!」
シンオウ、ノモセシティ陥落
同時にミオシティにハガネールをリーダーとした鋼鉄のポケモンが大量に決起、上陸
東西からテンガン山を挟むように進撃を続ける
そのころヒカリはズイタウンを自転車で疾走していた
もう一人の男も反対から息せき切って走っていた
ヒカリ「コ、コジロウ!?」
コジロウ「ゲッ、ジャリガール!!」
ヒカリ「あんた達ね!ポケモンに変なこと吹き込んだ…の…は」
コジロウの目には涙が浮かんでいた
コジロウは反論もせずまた走っていった
ヒカリ「…?」
ハガネール「くそっ、なんて奴らだ…人間の癖しやがって」
トウガン「グハハハハ!化石と穴を愛する熱血親父、このわしを差し置いて」
トウガン「鋼タイプがミオシティを荒らすとは、良い根性だぁ!!」
ミオシティ占領作戦はジムリーダーを始めとするトレーナー達の奮戦によって失敗
これは負け戦続きの人間サイドにとって、一筋の希望となった
ヒカリ「ここの船を出して下さい」
船長「行き先は?」
ヒカリ「…ヒウンシティです」
船長「!?」
ヒカリ、ナギサシティに到着
ここを中心としたタンバ、アサギ、コガネの三都市は
ゴーリキーなどのポケモンによって整備が進み
とりあえずラジオ塔周辺以外の損害を出さなかったコガネシティは
ポケモンが大量に居住を始めていた
一方防衛としてバリヤード部隊が完全に街を囲み
上空はポリゴン2が守っていた
またサイコキネシスによって設置された砲台が迎撃を行い
三都市の周りは要塞化していた
コジロウ「昔は良かったよなぁ…」
ムサシ「ピカチュウを捕まえるために血眼になってがんばって」
ニャース「それが、一番楽しかったのニャ…」
三人は急ぐ、想いを内に秘めて
反乱軍の手は、ジワリと伸びてきていた
船長「お嬢ちゃん、どうしてそんな所に…」
ヒカリ「会いたい人が、いるんです」
船長「くーっ、泣かせるね」
船長「スピード上げちゃうか!」
船から見る海は、絶景であった
遠くに見えるのはラプラスか
ヒカリ「綺麗な月ね…」
ジョウトジムリーダーの必死の攻防虚しく
エンジュシティ無血占領される
スイクン「我が故郷が戻られた」
ライコウ「ポケモンだけの力でな!!」
エンテイ「メタグロス一派よ」
エンテイ「そしてヨノワールよ、感謝する」
ヨノワール「光栄です、グフフフフ」
ホウオウ「……」
陸地の6割はポケモンの天下と成りつつあった
刃向かう人間は容赦なく殺し
人質すら残さなかった残忍な作戦が
見事成功したわけだ
人質は数えて100人ほどらしい
カントー
ミュウツーによって、ニビシティ、グレンタウン消し飛ぶ、タマムシシティ崩壊、その他近隣の都市に重大な被害
現在クチバシティを筆頭に小規模の戦闘が継続中、攻略対象から外される
一応都市としてはシオンタウンを無血占領した
再度攻略する場合はヤマブキシティを占領する見通しが立っている
ジョウト
アサギシティを中心としたポケモンの自治政権が樹立
勢力は、西がタンバ、反乱軍支部アサギ、自治政権の中枢コガネ
東がエンジュ影も形も無くなったヒワダとなる
最前線は、北は38番道路を後退してスリバチ山で今なお死闘が繰り広げられる
南はアルトマーレ近海で海上戦闘が続く
アサギではジムリーダー、ミカンが捕まり捕虜として丁重にもてなされている
ジョウトに戦力を割いたため侵攻は半日間行われなかったが
2月27日 19:00に侵攻開始、トクサネシティに陸上からデンチュラ、空中からプテラが猛攻を加え、
火炎に包まれて陥落した、ここがホウエン第一領土となる
サンダーが出没したという噂があるが未確認
現在トクサネシティの整備を進めている状態だが
ミナモ、ルネ、サイユウの三都市から攻撃を受け防戦に追われている
シンオウ
同じくして侵攻は行われなかったが
シンオウに対しては早期の蜂起を促したため被害自体は僅かながらあったようだ
2月27日 19:00に侵攻開始、テンガン山を基準に東西から挟み込む作戦を採用し、実行された
ノモセとミオに上陸、ノモセは泥沼の戦いの末、占領したが
ミオシティはトレーナーの反撃が予想以上で一旦撤収、作戦は失敗した
そのノモセもナギサシティより背後から猛撃を受け、辛勝するも戦力は10分の1に落ち込む
現在シンオウ勢力はノモセシティのみだが、最前線はヨスガシティ目前にまで迫っている
なお2月28日 3:30を目処に戦力の増援をまわす予定、輸送中
イッシュ
ヒウン大地震により、都市機能をヒウンに全て結集していたイッシュは都市機能を失う
その後侵攻しても無意味と判断され、一度は攻略目標から外れるが
反撃の戦力が熟す前に叩かんとし、2月27日16:29侵攻
ホドモエシティを敢えて避け、サンヨウ、シッポウを攻撃したことが功を奏し
手薄だった二都市は呆気なく陥落した
現在はポケモン居住区として整備を行い、ゆめのあとちを反乱軍支部として大改造中
トレーナーの反撃を防ぐためスカイアローブリッジは破壊された
---ハクタイシティ---
コジロウ(俺には約束がある)
コジロウ(あの時…)
強 く な れ よ
コジロウ「ナタネさん!!」
ナタネ「!?」
コジロウ「サボネアを…引き取りにきまし」
ナタネ「あ!コジロウ君じゃない!!」
ナタネ「あたしのポケモン達すーっごく強くなったの!」
コジロウ「へ?ああ、いや…」
ナタネ「ちょっとでいいから見てって!」
ナタネ「草タイプのポケモンは今持ってる?」
ナタネ「えーデスマスかぁ…」ガックシ
コジロウ「ナタネさん」
ナタネ「?」
コジロウ「あの…サボネアを、引き取りに来たんです」
ナタネ「…分かってるって」
コジロウ「えーっと…ありがとうございます!」
コジロウ「出てこい!」ポーン!
サァボネェー!
コジロウ「あああああぁサボネ…」
ブスッ!
コジロウ「がああああああ!痛い!痛いってぇサボネア-!!(嬉泣)」
ナタネ「…いいわぁ(はぁと)」
コジロウ「それで良いんです!サボネアが良いんです!!」
サボネア「サボネー!」
ナタネ「強ーくなってるから、慣れるのは大変かもね」
コジロウ「本当に、ありがとうございます!!」
ナタネ「…がんばってね」
コジロウ「はい!!」
ノモセ戦力の補充が完了
ノモセだいしつげんは反乱軍支部が置かれ、泥によってカモフラージュされた
フライゴン「ナギサシティは厄介ね」
そう言い放ったのは女ボス、シンオウ攻略総司令フライゴンだ
ドサイドン「しかし、我等じめんタイプで強行突破すれば問題はないかと」
フライゴン「あの街は巨大に見せかけてるだけ」
フライゴン「私が手に入れたいのはトバリシティよ」
フライゴン「あそこを失えば、シンオウもかなりの痛手になる」
フライゴン「そしてあの地形が美味しいわ」
ドサイドン「しからば、同時侵攻作戦はどうでしょう」
ドサイドン「我等じめんタイプが囮となり」
ドサイドン「本隊はトバリを頂く」
フライゴン「頭の悪いサイドン系にしては良い案だわ、派手に壊してきなさい」
フライゴン「いずれそこも頂くのだし」
ヒカリ「zzz」
船長「驚いたなぁ」
船長「こんな、か弱い子が…」
船長「昔は、海と言えばラプラスだった…」
船長「あのころはポケモンと人が、申し分なく仲良くなっていたはずだった」
船長「じだいはかわった」
マナフィ「いいえ、今もそれは同じです」
船長「な、なんじゃ!?」
マナフィ「ただポケモンが偉いとか人間が偉いかで争っている場合では無いのです」
船長「あがが…図鑑で見たぞ…」
船長「マナフィ…か?」
マナフィ「知っていたのですね、そうです」
マナフィ「僕は蒼海の王子、マナフィです」
突如潮が吹き上がる
ホエルオー「ふぁーーーーーん」
それを合図に、次々と海のポケモンが姿を水面に写す
船長「…なんと神秘的な」
マナフィ「あなたの船に乗っている、ヒカリという名前の子は、いますか?」
船長「あ?ああ…」
マナフィ「じゃあ、その子に伝えて下さい」
マナフィ「ポケモンと人間は、共存するものだ と」
ハルカ「…ふぁーあ…」
ハルカ「もう街に着い…てないねカメックス…」
ハルカ「ごめんね、街に着いたらゆっくり休んでいいから…」
マサト「…船が無いからって…やっぱり、ホウエンとイッシュを…カメックスで行くなんて…」
マサト「無謀だよお姉ちゃ…zzz」
ハルカ「…起きてたの?マサト…」
ハルカ「いいじゃない、私のゼニガメ?じゃない…カメックスは」
ハルカ「可愛いんだから…zzz」
朝方の微笑ましい風景はそこにはなく
殺戮と破壊に飢えるポケモンの姿があった
---ナギサシティ---
ナギサの、あの大停電を起こした街は荒廃していた
じめんタイプのポケモンが手当たり次第に破壊を繰り返し
廃墟と言う呼び名がふさわしく思えた
フライゴン「あの高台を占拠するの!!無血占領よ!!」
砂塵を吹き上げ猛襲をかけるドラゴンタイプ軍団
ボーマンダなどの巨大ポケモンが街を蹂躙し
元ギンガ団アジトは防衛基地として改装されていたが
オノノクスを中心とした地上部隊によって制圧された
オノンド「ここトバリシティは我等ポケモンのもんじゃー!!」
地形はそのままに、電撃戦が成功してトバリはポケモンの手に落ちた
フライゴン「ナギサの連中はうまくやった?」
ビブラーバ「完全に破壊し尽くしたとの事です」
フライゴン「……」プルプル
ビブラーバ「ど、どうされました」
フライゴン「あのバカ…完全に破壊してどうすんのよ…」
フライゴン「真っ平ら?」
ビブラーバ「はい、台地を崩して地面が凹むまで暴れまくった…と得意気に語っておられました」
フライゴン「」
作りとしては硫黄島のような感じ
ビブラーバ「りょ、了解」
フライゴン「ヨスガはどうなの!?」
ハクリュー「現在膠着状態が続いています」
フライゴン「サザンドラを投入!急いで!!」
ハクリュー「はっ!」
フライゴン(人間の反撃を防ぐには、短期決戦と、長期化した場合の時間稼ぎの要塞が不可欠なのに…)
フライゴン(あの…石頭ドサイドンは…!)
サザンドラ「フライゴン様ぁー!」
フライゴン「ジヘッドの喧嘩なら聞き飽きたわ」
サザンドラ「違うんです!」
サザンドラ「一人の男が、戦局を覆しています!!」
ガバイト「ぬぅあああぁーーー!!」
コジロウ(これが…これが俺のサボネア…すごい!すごすぎるぅ!!)
ジヘッド「ドラゴンタイプをなめるなあーーー!!」
双頭から放たれるりゅうのはどうが炸裂した
コジロウ「は…速い…」
それを余裕でかわすサボネア
素早さを重視するナタネならではの育て方の成果だった
コジロウ「サボネア!ミサイルばり!!」
コジロウ(悪いが、俺は元々悪の組織だからな)
コジロウ(この街のヒーローになるわけじゃない)
コジロウ(それに、先を急いでるんだっ)
コジロウ「サボネア!深追いするな!」
コジロウ「一気に陣を突破する!!」
サボネア「サボネー!!」
コジロウ(まるで、あのチャリンコ暴走族の頃みたいだ…)
ビブラーバ「サボネア使いが向かってきています!)
ジヘッド「ヨスガ軍壊滅!」
フライゴン「あわわわあわわわわわっわわわわ」
第一次ヨスガシティ攻略戦は一人のサボネア使いによって大敗を喫す
なお現在でもサボネア使いが誰なのかは不明である
ニャース「変わったのニャ…」
ニャース「ホリウッド」
2月28日 7:45
ニャース「今はポケウッドなのニャ…」
ニャース「ホリウッドがポケウッドに名前を変えて」
ニャース「今じゃ合成で安く作れて大人気だニャ」
ニャース「代わりにこの街は…」
ニャース「捨てられたのニャ」
ニャース「マドンニャちゃん…」
ニャース「生きているかニャ…」
ニャース「未練なんて全然ないのニャ!」
ニャース「ただ…思い出の場所…だったのニャ」
ニャース「だから、絶対違うのニャ…」
ニャース「一体何ニャ…この甘酸っぱい想い…」
ニャース「!?」
???「ニャニャニャー?」
ニャース「ペルシアン…」
ニャース「はっ!!」
ニャース「マドンニャ…ちゃん…?」
マドンニャ「ニャーァオォ」
マドンニャ「ニャ」
ニャース(せっかく会えたのに、何か喜べないニャ…)
ニャース「まだ日陰にいるニャか」
マドンニャ「ニャニャニャー?」
ニャース「…開き直るのかニャ」
マドンニャ「ンニャァ」
ニャース(目にあの輝きがないのニャ…)
ニャース(ニャんか…薄汚れて安っぽくなった気がするニャ…)
第一次、第二次、第三次と続いたアルトマーレ海域の戦闘は
ラプラスを前面に押し出して
海上で攪乱作戦を展開
そこをついて撃沈した反乱軍に軍配が上がる
追撃として、今まさに上陸作戦を展開中である
スリーパー「危険ですぞ!!」
メタグロス「なんだ、景観が破壊されるのが嫌いか」
スリーパー「そうじゃありません!!」
スリーパー「あそこは水の都、アルトマーレです」
メタグロス「…何が言いたい」
スリーパー「お気づきにならないのですか!!」
スリーパー「あの二匹が、我々に刃向かうとなれば」
スリーパー「被害は甚大!!」
メタグロス「なんだ、そんなことか」
メタグロス「心配はない」
メタグロス「あいつらとは不戦を約束したのだ」
メタグロス「アルトマーレを傷つけない事を条件にな」
スリーパー「…」
2月28日 8:12
ヒカリ、崩壊したヒウンシティに到着
ヒカリ「取り敢えずサトシを探さなくちゃ…」
アララギ「ヒカリ…さんかしら?」
ヒカリ「アララギ博士!!」
アララギ「サトシ君を探しに?」
ヒカリ「はい」
アララギ(今も瓦礫の下とは言えないわ…)
アララギ「…よく知らないけど、多分元気よ」
ヒカリ「…本当ですか」
アララギ「……」
ヒカリ「正直に答えてほしいんです」
ヒカリ「サトシはどこですか」
アララギ「……このヒウンシティの、どこかにいるわ」
ヒカリ「そうですか、ありがとうございまし…」
ヒカリ「!!」
ヒカリ「…う…そ…よね?」
アララギ「…そういうことよ」
ヒカリ「…そんなぁ…嘘よ…嘘よぉ…」ポロポロ
アララギ「捜索は続いているわ」
アララギ「人間ってね、災害に遭った時の生死の境目っていうのがあるの」
アララギ「72時間の壁って知ってる?」
アララギ「これを超えると急激に生存率が下がるっていう人命救助の用語よ」
アララギ「あくまで目安だけどね」
ヒカリ(サトシ…!!)
ニャース「そりゃーこの町は廃れたに違いなのニャ」
マドンニャ「ニャァニャ」
ニャース「だったらニャんでまだこの町に残るのニャ」
マドンニャ「ニャニャニャァ、ニャーゴ」
ニャース「今もあのペルシアンと愛し合ってますってかニャ?」
マドンニャ「ンニャー?」ギロ
ニャース「まあまあ、怒らニャい怒らニャい」
ニャース(どこまで案内する気かニャ…)
マドンニャ「ニャー、ニャニャニャニャンニャー」
ペルシアン「ンニャァ…」
ニャース「…おミャーの子供ニャ」
子ニャース達「ンニャー」
ニャース(ニャるほど…子供を置いて行けないって事ニャ…)
ニャース(あの時、ニャーと決闘したペルシアンは、老衰かニャ)
ペルシアン「ニャァ…ニャニャァ」
ニャース「食うに困っている」
ペルシアン「ニャンニャァ…」
ニャース「なんか子供達を養えるものを下さい…とニャ」
ニャース「大体、あれだけいたおミャーの子分はどうしたのニャ?」
ペルシアン「…ニャニャニャ」
ニャース「裏切った…ニャと」
ペルシアン「ニャー…ニャニャァニャンニャァ…」
ニャース「町がいよいよ寂れて、仲間同士で殺し合った…」
ペルシアン「…ンニャァ…ニャァニャニャ」
ニャース「…体を売ったニャってぇ!?」
ペルシアン「ニャニャンニャニャーァ」
ニャース「子分に…散々にされて」
ニャース「それで出来た子供ニャ…」
マドンニャ「ンニャァ♡」
子ニャース達「ニャニャ?」
ニャース「マドンニャちゃん…どうして…」
ニャース「どうりで疲れた目をしているニャ」
ニャース「若い頃は…いや、君があのセレブのニャースだった頃は、もっと目が輝いていた」
ニャース「一目見ただけで、誰もを魅了する美しい一品の芸術ニャ」
ニャース「でも今のマドンニャちゃんは」
ニャース「売れ残りニャ」
マドンニャ「ンニャア!!!!」ギロッ
ニャース「子供を産んだら最後まで世話するのが親としての義務ニャ!!」
ニャース「まだ何も知らない子供が、ニャーみたいに…」
ニャース「いつもお腹をすかしているのは最低ニャ!!」
マドンニャ「ニャニャニャァ!!」
ニャース「…ニャハ、ニャハ、ンニャッハッハッハ!!」
マドンニャ「!?」
ニャース「どうして…どうしてこうなってしまったニャ…」
ニャース「アハ、アハハッ、ニャハハハハハハハハハハハハハハハハァッ!!」
サトシ君…起きて、起きて!!
サトシ「…?」
サトシ「…カ……ノ…ン……?」
ポケモンの人間に対する反乱
物語も中盤に差し掛かる
圧倒的物量と、奇抜な作戦によって一時は地上の7割をつかんだ反乱軍
だがその動員数も限界に近づいていった
上層の思惑のズレ
更に血生臭くなる戦い
その間に見える個人、ポケモン達の想いを挟み
無慈悲にも物語は続く
結末は、どこへ向かうのか
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