ガブリアス 「フライゴンさん、遊んで~」

  • 2020.04.10
  • SS
ガブリアス 「フライゴンさん、遊んで~」
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:34:37.75 ID:nFKiAJNr0

(某所のパソコン、ボックス1)

フライゴン「…今、何時だ?」

ガブリアス「えっとねえ、多分、朝の6時くらい」

フライゴン「帰れ」

ガブリアス「えー」

フライゴン「俺が昨日、試合だったのは知ってるよな」

ガブリアス「………」

フライゴン「試合の翌日くらい、ゆっくりしたいってのも分かるよな」

ガブリアス「………」

フライゴン「俺はいつも、お前に何て言っている?」

ガブリアス「…相手の立場になって考えろ」

フライゴン「それを守っていれば、用もないのに早朝にいきなり来て、遊べとか言い出したりはしねえはずだ。分かったら帰れ」

ガブリアス「………」

3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:36:53.56 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だいたい何だ、遊んでってのは。でかい図体して」

ガブリアス「…フライゴンさん冷たくなった…」

フライゴン「ああ?」

ガブリアス「前はそんな言い方しなかったのに」

フライゴン「それはお前がまだフカマルで、右も左も分からなかった頃の話だろうが」

ガブリアス「…まだあれから半年しか経ってないもん…」

フライゴン「半年だろうが何だろうが、お前はもう立派なガブリアスなんだよ」

ガブリアス「…ガブリアスになったのだって半月前だもん…」

フライゴン「お前、おかしいぞ。言ってる事や、口調までフカマルの頃に戻っちまったのか?」

5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:39:28.41 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「確かにお前の成長は速かったよ。異例と言っていいくらいだ。だから体の成長に、中身が追いついてないってのはあるだろう」

ガブリアス「………」

フライゴン「だけどな、対戦相手のトレーナーやポケモンは、そんな事はこれっぽっちも考えてなんかくれねえぞ」

ガブリアス「………」

フライゴン「敵はお前を、強ポケのガブリアスとして全力で潰しにくる。厳しいかも知れねえが、受け入れてやっていくしかねえ」

ガブリアス「………」

フライゴン「だからお前がガブリアスになったとき、言ったはずだ。もう新人とは思わねえ。一人前のポケモンとして扱うってな」

ガブリアス「………」

フライゴン「お前も納得したはずだ。むしろ嬉しがってるように見えたがな。それなのにどうした。今になって急にガキみてえな事を」

7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:44:47.86 ID:nFKiAJNr0
ガブリアス「…フライゴンさんは僕が嫌いなんだ…」

フライゴン「何だって?」

ガブリアス「僕がガブリアスだから…」

フライゴン「?」

ガブリアス「ガブリアスがフライゴンの活躍の場を奪ったから…」

フライゴン「なるほどな」

ガブリアス「………」

フライゴン「様子がおかしいと思ったが、そういう事か。どこでそんな話を聞いてきた?」

ガブリアス「…昨日、よそのトレーナーのところのガブリアスが…」

フライゴン「そうか」

ガブリアス「ガブリアスのくせに、何でフライゴンなんかについて歩いてるんだ、って…」

フライゴン「どんな事を言ったのかは、聞かなくても想像がつくな」

8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:47:49.28 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「そいつは性格が悪そうだから、かなり悪意のこもった話をしたとは思う。それでも、おそらくそいつの言ってる事は、ほぼ正しい」

ガブリアス「えっ」

フライゴン「意外か?」

ガブリアス「だって…」

フライゴン「じゃあ聞くが、お前、俺と戦ったら負けると思うか?」

ガブリアス「そりゃそうだよ…だって…」

フライゴン「お前が新入りだった頃のイメージは捨てろ。昨日だって俺の試合を見てるだろ。俺を対戦相手として見てみろ」

ガブリアス「………」

フライゴン「その上で、今のお前の戦力と戦わせてみろ。どうだ、怖いか?」

ガブリアス「………」

フライゴン「今はまだレベル差があるから、どう転ぶか分からない部分はあるさ。だが、ごく近い将来、俺はどうあがいてもお前には勝てなくなる。間違いない」

10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:52:48.52 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だいたいな、お前、試合でフライゴンをよく見るか?」

ガブリアス「…見ない。ほとんど」

フライゴン「だがガブリアスはイヤってほど見るだろう。それが答えだ」

ガブリアス「………」

フライゴン「フライゴンとガブリアスはタイプが同じで、能力はあらゆる面でガブリアスが上回っている。だとしたら、わざわざフライゴンを使う理由はねえ」

ガブリアス「でも…」

フライゴン「いまだに俺を試合に引っ張り出すうちのマスターなんかは、もう変わり者の領域なんだよ」

ガブリアス「………」

フライゴン「フライゴンにできる事で、ガブリアスにできない事はあまりない。対戦で重要な事は、ほとんどないと言っていい。トレーナーが勝つためにやってる以上、ガブリアスを使うのは当然の話だ」

ガブリアス「………」

13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 00:59:33.90 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だがなガブリアス、これだけは言っておくぞ」

ガブリアス「?」

フライゴン「お前は、昨日お前が出会ったヤツみてえな、くだらないガブリアスにはなるな」

ガブリアス「くだらない?」

フライゴン「そいつは多分、俺より強いだろう。だがそれでも断言できる。くだらないヤツだ」

ガブリアス「どうして?」

フライゴン「そいつは生まれた時から、強者に近い場所にいるヤツだろう。それなのに他人を貶めて、ちっぽけな自尊心を満足させている。およそ考えつく限り、最もくだらない行為だ」

ガブリアス「………」

フライゴン「馬鹿な話だ。遊んでいても、そこらへんのポケモンなら軽く倒せる力を持っているんだ。ただ勝ち続ければ、それだけで強さは証明され、尊敬もされるだろう」

ガブリアス「………」

フライゴン「自分の人格に問題がある事を、吹聴して回るような真似をする意味がどこにある?自覚してやってるなら下劣だし、自覚していないなら馬鹿だって事だ」

17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:03:35.66 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「お前に何か言うのも、これで最後になるかも知れねえが、まあ最後の小言だと思って聞いてくれ」

ガブリアス「!」

フライゴン「自分より弱いヤツを見下したくなるのは、ある意味、仕方がないのかも知れねえ。だが、それを口に出すのと、沈黙を守るのとでは、大きな差があるって事は覚えておくべきだ」

ガブリアス「…最後って何?」

フライゴン「?」

ガブリアス「どうしてそんな事言うの!?」

フライゴン「分かるだろ。これからのお前に必要なのは、もっと実戦に役に立つ助言だ。お前より弱い俺に、何か言えるような資格があると思うか?」

ガブリアス「どうでもいい!そんなのどうでもいいよ!」

フライゴン「………」

ガブリアス「…フライゴンさんはガブリアスが嫌いなの…?」

フライゴン「ガブリアスに恨みを持ってるフライゴンは、大勢いるだろうな」

ガブリアス「フライゴンさんはどうなの…?やっぱり僕の顔なんか、見るのもイヤなの…?」

18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:07:06.11 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「お前が聞きたいのは、俺個人が、ガブリアスであるお前をどう思ってるかって事だな」

ガブリアス「………」

フライゴン「分かった。一人前のポケモンとして扱うって言ったからな。腹を割って話すよ」

ガブリアス「…うん」

フライゴン「お前に会う前の俺が、ガブリアスに対して、思うところがなかったと言えば嘘になるだろうな。比較されては、ずいぶんと不愉快な思いもしてきたよ」

ガブリアス「………」

フライゴン「一応言っておくが、うちのマスターやポケモンには、そんな目にあわされた事は一度もねえ。だが、お前が昨日会ったガブリアスみてえな輩は、結構多いもんだ」

ガブリアス「…うん」

フライゴン「でな、うちのマスターは、なかなかガブリアスを仲間にしなかった。トレーナーの間じゃ、使用率は一二を争う強ポケで、入れりゃ戦力アップは確実だってのにだ」

19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:11:20.22 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「もちろん、マスターには何かお考えがあったんだろう。だが万が一にも、俺に遠慮してガブリアスを入れないなら、申し訳ない話だとずっと思ってた」

ガブリアス「………」

フライゴン「だからな、お前が入って来た時は、ほっとしたってのが正直なところだったよ。俺との付き合いが長いとか、そんなのは気にしねえで、勝つ事を考えて欲しかったからな」

ガブリアス「そうだったんだ…」

フライゴン「さて、そうやってうちにフカマルが入ったわけだが、どういうわけかそいつが、やたらと俺の後をくっついて来たがってな」

ガブリアス「だって…」

フライゴン「別に責めてるわけじゃねえ。来たばっかりのお前に、空気読めってのも無理な話だ。ただ、何でよりによってフライゴンに、とはみんな思ってただろうな」

ガブリアス「………」

フライゴン「実際、マリルリやチャーレム、ムクホークあたりは、お前を預かろうかと申し出てくれたよ。みんな面倒見がよくて、信頼できるヤツらだ。それもいいかと思った」

23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:17:32.10 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だがな、そこで考えたんだ。言い方は悪いが、俺はお前を放り出そうとしてる。その理由は何かってな」

ガブリアス「理由?」

フライゴン「俺がお前と付き合ってみて、性格的にどうしても合わねえとか、そんな感じのわけがあるなら、他に適任がいるなら回せばいい。だが、違うだろう、と」

ガブリアス「………」

フライゴン「お前の性格に問題はねえし、相性だって悪くないと思った。じゃあ、俺がお前をよそにやろうって理由は、お前が将来、ガブリアスになるヤツだからっていう、ただそれだけだ」

ガブリアス「………」

フライゴン「誰だって、自分がなりたい存在に生まれてこられるわけじゃねえ。俺がフライゴンなのと同じように、お前がフカマルなのも、お前が何かを選択した結果、決まった事じゃねえ」

ガブリアス「…うん」

フライゴン「こっちを気に入ってくれる若いヤツを、種族を理由に拒絶しちまえば、それは結局、俺をフライゴンだからって理由で馬鹿にしてる連中と、根っ子のところで同じじゃねえかって思ったわけだ」

28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:22:47.36 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だから俺は、お前を引き受ける事にした。俺がお前にとって、いい先輩だったかどうかは分からねえ。だが、俺が教えられる事は、教えてやれたんじゃねえかって思う。それでな」

ガブリアス「うん」

フライゴン「本当にやってよかったと思うよ。結局、ガブリアスだとかフライゴンだとか、そんなのは関係ねえんだなって分かった。同じ種族でもイヤなヤツはいるし、違う種族でも友達になれるヤツはいる」

ガブリアス「うん…うん…」

フライゴン「お前は俺にとって、かわいい後輩だよ」

ガブリアス「うっ…うぅ…」

フライゴン「馬鹿野郎。そのくらいで泣くな。それにな、かわいい後輩で満足してもらっちゃ困るんだよ」

ガブリアス「…?」

フライゴン「とっとと頼もしい後輩に進化してくれ」

ガブリアス「うん…僕…頑張るよ…」

33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:25:45.18 ID:nFKiAJNr0
ガブリアス「僕、あのガブリアスの話を聞いてから、ずっと思ってたんだ。フライゴンさんに謝らなくちゃって」

フライゴン「謝る?何をだ?」

ガブリアス「僕のせいで、フライゴンさんにずっとイヤな思いをさせてたんじゃないかって…」

フライゴン「………」

ガブリアス「僕がなんにも知らなかったから…いつも僕がフライゴンさんの後をくっついて回ってたから…だから仕方なく、僕の面倒を見ていてくれてたんじゃないかって…」

フライゴン「そうか」

ガブリアス「だから、謝ろうって決めたんだけど…いざフライゴンさんの前に出たら…怖くて…」

フライゴン「怖い?」

ガブリアス「…フライゴンさんに、本当はお前の事なんか大嫌いだったって言われるかも知れない…そう考えたら、すごく怖くなって…」

フライゴン「それで、遊んで、か」

ガブリアス「………」

34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:28:20.37 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「俺の方こそ謝らなきゃな。相手の立場になって考えろ、とか偉そうな事言っておいて、お前の気持ちなんか考えねえで厳しい事だけ言っちまった」

ガブリアス「そんな事ないよ!僕の方が、謝ろうって決心したのに勇気がなくって…」

フライゴン「…なあ、せっかくこうやって腹を割って話せたんだ。俺の方からも一つ聞いていいか?」

ガブリアス「えっ。うん、いいよ」

フライゴン「お前、フカマルの頃に、何で俺の事があんなに気に入ってたんだ?どうも理由が分からねえんだが」

ガブリアス「…えっと…その…最初のきっかけは…フライゴンさんの尻尾が…」

フライゴン「…尻尾…?」

ガブリアス「…シマシマで、先っぽに何かついてて、面白かったから…」

フライゴン「………」

ガブリアス「………」

38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:31:56.84 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「…マジかよ。そんな理由だったとはな…」

ガブリアス「き、きっかけはだよ、きっかけは!」

フライゴン「ヘコむわー。聞くんじゃなかったわー」

ガブリアス「もっもちろん今は違うよ!フライゴンさんの人柄とか!人格とか!」

フライゴン「今さら何を言っても、尻尾フェチ野郎の言い訳にしか」

ガブリアス「えっ!?フェチって何!?」

フライゴン「まあいいけどな。だがなガブリアス、これだけは言っておくぞ」

ガブリアス「?」

フライゴン「しっぽをふるを使ってくるポケモンは、しっぽをふられる前に倒せ」

ガブリアス「うわあああああん!フライゴンさんの意地悪!」

フライゴン「ははは、何も泣く事ねえだろ。冗談だよ冗談」

40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:37:50.47 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「きっかけなんてのは、案外そんなもんかも知れねえな。ある意味お前らしいよ」

ガブリアス「うぅ…」

フライゴン「まあ、お前にはこれからエースとして頑張ってもらわなきゃならねえんだから、尻尾好きもほどほどにしとけよ」

ガブリアス「………」

フライゴン「おっとすまねえ。ちょっとしつこかったな」

ガブリアス「ううん、そうじゃなくて…」

フライゴン「?」

ガブリアス「僕が頑張ると、その分、フライゴンさんの出番を取っちゃう事になるのかな…」

フライゴン「そんな事は気にするな」

ガブリアス「でも…」

フライゴン「確かに試合に出るのは嫌いじゃねえし、マスターの使い方が良くてそこそこ勝ってはいるが、俺にはもっとやりたい事があるからな」

41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:41:55.02 ID:nFKiAJNr0
ガブリアス「やりたい事?」

フライゴン「ああ。もう一度、空を飛ぶを覚えて色んなところに行ってみてえ」

ガブリアス「空を飛ぶって、秘伝技の?」

フライゴン「おう。昔は俺が飛んでたんだがな、トレーナー戦に出る機会が増えたんで、外れたんだ」

ガブリアス「そうだったんだ」

フライゴン「好きなんだ、飛ぶのが。お前はどうだ?」

ガブリアス「僕はあんまり…」

フライゴン「そりゃそうだな。お前は本当に、一応飛ぶ事もできるってだけだからな。何度か見たが、ありゃひどかった。人を乗せるなんて絶対に無理だな」

ガブリアス「フライゴンさん!ひどい!」

フライゴン「ははは、まあそう怒るな。一つくらいお前より得意なもんがないと、こっちも立つ瀬がねえ」

43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:47:00.77 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「今、マスターを乗せて飛んでるのはフワライドだがな、あいつも色々と面白い戦い方ができるヤツなんだよ。だからそろそろ代わってやりてえ。それにな」

ガブリアス「うん」

フライゴン「人の仕事にケチはつけたくねえが、マスターがフワライドにしがみついて飛んでるのは、どうにもおっかなくて見てられねえ」

ガブリアス「確かにあれはちょっと…」

フライゴン「絶対に俺の方がうまく飛べる自信がある」

ガブリアス「うん、僕もそう思うよ!」

47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:52:43.88 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「俺の故郷は砂漠でな。ガキの頃、たまにオアシスがあるだけの、全く代わり映えのしねえ風景を、毎日毎日眺めてたよ」

ガブリアス「うん…」

フライゴン「何にも面白い事なんてねえ。でも出て行く度胸もねえ。ただ目的もなく生きて、いつかただ死んでいくんだって思ってた。そんなある日、マスターに出会った」

ガブリアス「………」

フライゴン「マスターと旅して、色んなもんを見たよ。どこまでも広がる海と水平線、天にも届きそうな山と断崖、真っ白な雪原と凍りついた湖。世界はこんなにも広くて、美しいんだって思った」

ガブリアス「………」

フライゴン「不思議なもんでな。色んな美しいものを見て、そうしてたまにあの故郷の砂漠を思い出すとな、あんなに嫌いだった風景が、あれはあれで美しかったんだなって感じるんだよ」

ガブリアス「………」

フライゴン「…っておい、ガブリアス…?」

ガブリアス「………」

49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:54:48.09 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「まったく、思いっきり早起きして人のところに来といて、そこで寝ちまうヤツがあるか」

ガブリアス「……ぅ…」

フライゴン (いや、昨日はろくに寝てないんだろう。ガキなみのオツムで、こいつなりに色々考えたってわけか)

フライゴン (………)

フライゴン (なあガブリアス。俺には分かる)

フライゴン (お前は強くなる)

フライゴン (俺なんかがいなくても、1人でも立派にやっていけるようになる)

フライゴン (そしてマスターにたくさんの勝利をもたらすだろう)

フライゴン (そこまでは分かる。確信してる。だが…)

フライゴン (そこから先の事は、俺には分からねえ…)

50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:56:41.70 ID:nFKiAJNr0
フライゴン (世界は広い)

フライゴン (いつか、今は俺たちの知らないポケモンとも戦う日がやって来る)

フライゴン (その時、お前の強さは通用するのか…)

フライゴン (今は確かなものに見える強さも、たった1つの新しい特性、新しい技、新しいアイテムが出て来るだけで、あっさりと揺らいじまう事だってある)

フライゴン (そういう不安定な土台の上に、強さってのは乗っかってる)

フライゴン (そんな危なっかしい場所でお前は、これから先ずっと、戦い続けて、勝ち続けていかなきゃならねえんだな)

52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/08(木) 01:59:51.70 ID:nFKiAJNr0
フライゴン (もし将来、お前の前に、自分ではどうする事もできない壁が立ちふさがった時)

フライゴン (お前は強さを諦める事ができるんだろうか)

フライゴン (強さ以外の、何か大切なものに、気付く事ができるんだろうか)

フライゴン (ガキの頃から、強者として生きていく事が、義務になっちまったお前に…)

フライゴン (………)

フライゴン (俺には、祈る事しかできねえ…)

フライゴン (お前の旅が、終わりをむかえるその日まで)

フライゴン (ずっと、高く、飛び続けられるように)

ガブリアス「………」

おわり